心臓病や脳卒中など重大な病気につながりかねないメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)。食事など日常生活の積み重ねが影響し、体形や血液の状態に表れる、いわば「カラダのサイン」だ。メタボ関連の最新データを都道府県別に見ると、健康にかかわる県民性も見えてくる。
【グラフで見る】腹が出たおじさんとおばさんの多い・少ない都道府県は?
* * *
メタボ健診と呼ばれる特定健康診査(40~74歳対象)の結果を都道府県別にまとめ、メタボの該当者と一歩手前の「予備軍」が占める比率を示した。
全国で最も高いのは沖縄。上位は福島、宮城、秋田など東北や、宮崎、鹿児島、和歌山など西日本の太平洋岸の県が目立つ。
メタボとは腹囲が男性85センチ、女性90センチ以上に加え、(1)中性脂肪、コレステロール(2)血圧(3)血糖値のうち、2項目以上が一定の基準値に達した人をさす。1項目該当すれば、予備軍に位置づけられる。
「長寿県のイメージが失われてしまった」
そう話すのは沖縄県庁の担当者。2008年から15年までの8年間で、5回もメタボ該当者の割合が全国1位となるなど、不名誉な結果を残している。
沖縄県が1月にまとめた「16年度県民健康・栄養調査結果」によると、肥満者の割合は20~69歳の男性約4割、40~69歳の女性約3割。全国平均の男性約3割、女性約2割と比べて高い。食事の栄養バランスの悪さや男性の過度な飲酒が際立っている。
沖縄は女性の平均寿命が特に長く、かつては全国1位だった。変調が表れたのは1990年代だ。男性が1位から5位に転落し、00年の調査で26位に。女性も10年に首位を明け渡した。
沖縄県が注視するのは、35~64歳の死亡率の高さだ。この年齢層の死亡率が男女ともに全国を大きく上回る。75歳の平均余命が女性全国1位、男性2位に対し、働き盛り世代の数字の悪さが際立つ。脳血管疾患や急性心筋梗塞、肝疾患などの死亡率が高く、県健康長寿課は「メタボ該当者・予備軍の多さと関連が深い」とみている。
肥満は生活習慣病のもとといわれる。皮下脂肪と比べ、内臓脂肪はたくさん脂肪を出す傾向にある。放出された脂肪は、血液中の中性脂肪や善玉コレステロールのバランスを崩す。その結果、様々な物質が血管に沈着して動脈硬化につながる。