日大のときはフィルのアリゾナ州立大の監督にアメリカへ招待されて、彼らのリーグ戦に参加しました。確か初日と2日目はフィルと一緒に回ったんですけど、そのとき彼はすでにプロの試合で優勝したあとだったから、学生の試合なのにギャラリーを200人ぐらい引き連れてました。あれは驚いたなあ。
初対面から30年以上たって、彼がまだ現役のスーパースターを向こうに回して、スパーンと一本背負いを決めるみたいな勝ち方をするんですから。40勝もしてる選手ってのは、ちょっとモノが違うんでしょうね。
フィルは去年の6月に、25年も一緒だったキャディーのジム・マッケイと離れたんです。ボーンズっていうニックネームで呼ばれてた人ですけどね。突然、彼に担いでもらうのをやめた本当の理由は分からないですけど、そこから弟のティムが専属キャディーになって。1年もしないうちに勝っちゃうんですからね。持ってるなあ、と思います。このトシになってから弟に担いでもらって、まあ普通に考えたら「シニアに向けて、のんびりいこう」って雰囲気になるじゃないですか。それを今年に入って新たに試行錯誤して、トップ10を続けて、優勝まで。絵に描いたようなカッコよさです。
何せ僕は英語がそこまで話せないんで、フィルの本性には迫れてません。だけど、彼はアメリカの選手にありがちな、悪ふざけが好きだったり、下ネタを言ったりなんてことは絶対にない。そして、いつも優しい。僕がグリーンカードをとるとき、保証人になってくれました。会うといつも、「シゲキサン、ゲンキデスカ?」って。ああ、またフィルに会いたいな。
※週刊朝日 2018年3月23日号