検査がやや専門的で難しく、多焦点眼内レンズのような高額のレンズを使わないため、医療機関の収益となりにくい。こうした背景が普及を阻んでいると神谷さんは考えている。
なお、モノビジョンという考え方は、コンタクトレンズにも応用されている。コンタクトのピントを片方を遠くに合わせ、もう片方を近くに合わせるという方法だ。試してみたい人は、眼科医に相談してみるとよいだろう。
これまで紹介した方法以外に、白内障手術に伴わない老眼治療もある。「レーシック技術を用いたモノビジョンや眼内コンタクトレンズ」、インレイという黒いシートを角膜の内側に入れて光を調整して老眼を解消する「角膜インレイ」などだ。
「50、60代の老眼は老眼鏡ですめばそのほうがいい。やがて白内障手術をするという運命が待っているからです。なるべく白内障の治療をするときの選択肢を減らさないことが大事で、個人的には白内障治療を考慮しない老眼治療は賛成できません」(この分野に詳しい宮田眼科病院[宮崎県都城市]院長の宮田和典さん)
白内障手術をするまでの間、老眼鏡なしで過ごす方法はないのだろうか。
「『遠近両用コンタクトレンズ』という選択肢があります。今、出ているものは以前と性能がまったく違い、使いやすくなっています」