老後資産はできるだけ増やしたい。この女性は長く働くことができる職場に転職を決意した。

 先の遠藤さんも明るい表情で言う。

「人生100歳と考えると、60歳で定年を迎えても、この先まだ40年もあるでしょ。趣味やボランティアだけじゃ、時間が持たないわ」

 早期退職や転職するもよし、慣れた組織で定年退職を迎えるもよし。歩む道は十人十色。第二の人生をどう過ごすのか。

 元祖「定年女子」にヒントを見いだすこともできる。

 中国、四国、九州の百貨店で初の女性店長として、三越広島店のトップを経てプランタン銀座の代表取締役副社長まで務めた鈴木清江さん(65)は、60歳ですっぱりと退職した。

「店づくりもやり切ったし、仕事に未練はない。あと5年働くこともできましたが、60歳を過ぎたら自分の時間も大切だと思った」

 大学時代の同期で、外資系人材育成コンサルティング会社の役員経験がある久慈洋子さん(65)を中心に友人4人で、「Team W-IZU(チームウィズ)」というグループを立ち上げた。働く女性として得た経験や知恵を次の世代に伝えることが目的だ。登録メンバーは約60人で、30代から60代までと幅広い。年に4回ほど集まり、世代を超えて話し合う時間を持つ。

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