記録だけでなく、存在感も日本選手の中で随一だ。葛西の国際試合を取材したスポーツジャーナリストはこう語る。
「ジャンプの人気が高い欧州では、葛西は自国選手以上の大歓声を受ける。1月にはジャンプ王国オーストリアのスキー連盟が葛西の功績を称えるパーティーを主催。各国の名選手が集結し、普段は火花を散らしている各国のヘッドコーチが和気あいあいと舞台に並び、葛西に歌をプレゼントするサプライズもありました」
葛西は自著『向かい風がいちばんいい』(河出書房新社)で、今後について次のように語っている。
<平昌オリンピックの次は北京オリンピックがあります。そのときは49歳になっているはずですが、現役選手としてオリンピックを目指しているんじゃないかと本気で思います>
前出の岩瀬氏は言う。
「葛西は『ジャンプが好き』という思いが強く、各国の選手との交流も含め競技を楽しんでいる。次の次、札幌で招致活動が始まった26年開催の五輪に出場することも不可能ではない。後進の若手を育てる役目も期待されているので、全日本のコーチと兼任で出場、ということもあるかもしれません」
“伝説”はまだまだ続きそうだ。(本誌・小泉耕平)
※週刊朝日 2018年3月2日号