45歳にして冬季五輪史上最多となる8度目の出場を果たしたノルディックスキー・ジャンプの「レジェンド」こと葛西紀明。個人ノーマルヒルは21位に終わったのに続き、2月17日の個人ラージヒルでもメダルを逃したが、奮闘するその姿は世の「オジサン」たちに勇気を与えた。
2014年のソチ五輪では個人ラージヒルで41歳にして銀メダルを獲得した葛西だが、「目標は五輪の金メダル」と公言し、さらなる高みを目指してきた。なぜ、不惑を過ぎても現役を続けていられるのか。葛西を長年取材してきた国際スキージャーナリストの岩瀬孝文氏がこう語る。
「ジャンプはメンタル勝負の部分が大きい競技。控室でのライバル選手との視線の交わし合いから駆け引きは始まっているし、自分に不利な風向きでも躊躇なくスタートして空中で風をつかまえるなど、経験からくる心の強さがものを言う。その点、葛西選手は人一倍負けず嫌い。私と遊びでゴルフをした時も『絶対勝つぞ』と、本気でプレッシャーをかけてくるほどです。『勝ちたい』という目的がハッキリしていることが、ストイックな自己管理や勝負強さにつながっている」