放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回はオリンピック選手の番組出演について。
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平昌オリンピックが開幕した。たくさんの選手たちが熱い戦いを繰り広げるのだろうが、それと同時にもう一つの戦いが展開されている。
テレビ局によるブッキングだ。オリンピックが終わると、各局活躍した選手がたくさんのバラエティー番組に出演する。活躍した選手ほど、視聴者の興味はあるし、視聴率も上がる。
できることならなるべく最初に、活躍した選手を出したい。何度目かの出演だと、例えばその人がどんなことに興味があるのか? どんなプライベートを過ごしているのか?などはすでに話し済みとなる。だから帰国してからでは遅い。
各局のスポーツ担当などが、現地でブッキングしていくのだ。ある意味、レースである。
その戦いは局の間だけで行われるのではない。金メダルを取ったある選手に、ある局のスポーツ担当がテレビ番組出演のOKをもらえたとしよう。そのスポーツ担当からしたら、まず大事なのはスポーツ番組に出演してもらうことだ。その次にバラエティー。そうなると、全てのバラエティーに出演というわけではなく、「バラエティーは1本だけ出ます」という時もある。そうなると今度は局内でのバトルが始まる。各番組のプロデューサーが手を挙げて立候補する。そして選手がどれに出るかを選んでくれる。もちろん人気番組だと強いし、選手がその番組の出演者のファンだったなんてこともたまにある。自分の番組を選んでもらった時はとてつもなく心地よいが、そうじゃなければ、もう妬み嫉みである。
そしてもう一つ。大会が始まる前からオファーをすることもある。その選手がメダルを取っても取らなくても出演をお願いするのだ。こんな言い方したら選手に失礼かもだが、これは賭けである。出演をお願いしていた選手がメダルを取ればラッキーだが、まったく活躍できなかった時は、選手自身も申し訳なく思っていたりする。