ところが、今回の文書には〈(国有地の)売買金額については、できる限り学校法人(森友学園)との事前調整に努めるものとする〉と、真逆のことが書いてあったんです。

 また、今国会では2016年3月に籠池泰典・森友学園前理事長が近畿財務局などと交渉した際、「昭恵夫人から電話がありましてね」などと、首相夫人の名前を出していた音声データの存在も明らかになりました。著述家の菅野完氏はこう語っています。

「財務省による情報開示が圧倒的に不足しているため、いまのところ明らかになっている資料だけを元に考えるしかない。そうなると、財務省が国有地の値引きに応じた根拠は、昭恵夫人の名前を森友学園側が使ったことにあるとしか解釈しようがない。財務省は首相夫人の名前を出せば、ものの値段を変えてしまう組織なのか。これを検証しないうちは、国会で来年度の予算審議などできないはず」

 もはや価格交渉があったことは否定できない。東大経済学部を卒業し、「省庁の中の省庁」である財務省で出世街道を歩んできた頭脳明晰なあなたなら、とっくにわかっているはずです。

 あなたは国税庁長官に就任して以来、一度も記者会見を開いていません。麻生財務相は「所管の行政以外に関心が高まっていたことから実施しなかったと聞いている。適切な対応だ」と、あなたを擁護します。しかし、国民が関心、というより懸念を深めているのは、もしあなたが国会でウソをつき、あるはずの文書を「ない」と隠ぺいしたならば、そうした人物に国民の納税を管理する役所の責任者を任せていいのか、ということに尽きるのではないでしょうか。

 あなたは会見に出てこない一方で、業界紙「税理士界」の「新春対談」には笑顔で登場し、「組織のリーダーの心構え」として、こんな発言をしています。

〈国税組織は5万6000人の職員を抱える大きな組織ですが、些細な問題でも対応を誤れば、組織の信頼を失ってしまいます。それを防ぐためにも、リスク管理として、必ず上司に報告するよう徹底させています〉

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