国会で答弁する佐川氏 (c)朝日新聞社
国会で答弁する佐川氏 (c)朝日新聞社
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疑惑の舞台となった大阪府豊中市の国有地 (c)朝日新聞社
疑惑の舞台となった大阪府豊中市の国有地 (c)朝日新聞社

 安倍政権への疑惑の炎は2018年も燃え続けている。森友学園問題では、なかったはずの文書の存在が次々と発覚。「文書は破棄した」と答弁し続け、国税庁長官に出世した佐川宣寿氏は、どんな心境でこの事態を見ているのか。いっこうに国会に出てこない佐川氏に、本誌が一筆したためた。

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 佐川宣寿様

 拝啓 厳しい寒さが続く中、いかがお過ごしでしょうか。

 ご存じのとおり、国会はあなたの話題で連日、持ち切りです。昨年7月、国税庁長官にご出世されたあなたの人事について、野党からは疑問視する声がしきりにあがっていますが、任命責任者である安倍晋三首相や麻生太郎財務相は「適材適所の人事」と強弁されています。“忖度”の論功行賞といわれるご自身の地位についてどうお考えですか。

 そういえば、今国会では実に不思議なことが起きています。あなたが昨年、財務省の理財局長として「すべて破棄した」と国会で答弁したはずの森友学園と財務省との交渉記録が、今年に入り、相次いで公表されています。きっかけは、神戸学院大の上脇博之教授による同省への情報公開請求でした。上脇氏は本誌にこうおっしゃっています。

「これまで財務省は『交渉記録は存在しない』との回答だったが、今回、開示された文書は『財務省の内部で検討された文書』という形で出してきた。仮に近畿財務局が方針を変えたのであれば、国民の怒りが影響したのかもしれない」

 文書はまだほかにもあり、財務省は国会への提出を検討しているそうです。

 あなたを生贄に、財務省が組織防衛に走っているというこんな噂も耳にします。

「森友疑惑で大阪地検特捜部の捜査のメスが入り、多くの資料を差し押さえられた。佐川さんの国会での虚偽答弁が国民にバレるのは、時間の問題と判断し、財務省は少しでもバッシングを避けようと情報公開したのでは?」(霞が関官僚)

 そうそう、出てきた文書の中身も驚くべきものでしたね。森友学園と財務省が事前に国有地を大幅に値引きする価格交渉をしていたのではないかという疑惑に対し、あなたは時に怒気を含んだ口調で、キッパリと否定してきました。

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