ほぼミスなしの正確な演技から「ミス・パーフェクト」と呼ばれる宮原知子(c)朝日新聞社
ほぼミスなしの正確な演技から「ミス・パーフェクト」と呼ばれる宮原知子(c)朝日新聞社
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荒川静香が予想するメダル候補(週刊朝日 2018年2月9日号より)
荒川静香が予想するメダル候補(週刊朝日 2018年2月9日号より)

 日本勢はメダルをとれるのか? ロシアの強敵の調子は? 2月9日に開幕する平昌五輪のフィギュアスケートが始まる前に、知っておきたいシングル女子の選手情報を荒川静香さんに解説してもらった。

【荒川静香が予想するメダル候補はこちら】

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──もうすぐ平昌五輪、見どころを教えてください。世界女王エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)からお願いします。

 どの試合でもミスが少ないというのが、圧倒的な強さの原因の一つです。ジャンプの確率がずば抜けていて、さらに加点が取れるような工夫をたくさん仕込んでいる。たとえ失敗したとしてもゼロからのマイナスではなくプラス1からのマイナスになるように、得点につなげる工夫がたくさんあるプログラムは、トゥトベリーゼ・コーチチームの特徴でもあります。選手の個性に合わせてプログラムが組まれており、評価がしっかりととれるようにすごく練りこまれています。

──アリーナ・ザギトワ(ロシア)も同じコーチですね。

 ジュニアから上がってきたばかりの選手は、背伸びをしたプログラムだと、どうしても子供っぽさが目立ってしまうので、今の本人に合った選曲、プログラムを与えるというところが大事です。ザギトワには誰もが知っている名曲を与えて、今の彼女に合った編曲にしています。あれだけ後半にジャンプをかためたプログラムにすれば偏った印象になりがちですが、それを軽快な曲調に転調し、それに合わせて次々ジャンプを決められると、見ていて楽しい気持ちになる。また音楽に合わせてジャンプを跳ぶということも加点の要素なのですが、それが全部かなっています。

──ザギトワも金メダル候補の一人ですか。

 可能性はあると思います。あのプログラムを18歳でやったらそれほど点は出ないかもしれません。でも15歳という年齢で、駆け上がってきたときの勢いと共に見せている。あれほどフレッシュなものは大人には出せないという強みを、最大限に生かしています。彼女の圧倒的なフリーの強さによって、もしメドベージェワが失敗をして彼女がミスなく滑れば、超えてしまう可能性も秘めています。

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