──羽生選手はジャンプ前と後のトランジション(演技のつなぎの動き)もうまいですね。
さらっとやっているので難しいようには見えないけれど、難しい技術。あれはすごいと思います。
──金メダル争いはやはりこの2人でしょうか。
そうなってくれたら理想ですが、オリンピックは「まさか」も起きますから。その感情を楽しみながら見るのもオリンピックならではと思います。ただこの先、日本男子が1位2位を狙える立場でオリンピックに行くということはしばらくないと思うので、ぜひとってほしいです。
──ハビエル・フェルナンデスについてはどうですか。
凝った振り付けで自分のキャラクターを、全く違うものにして見せることができる選手。4回転は飛距離も高さもあってすごく質がいいですね。あれだけの4回転を跳べるのは、あとは羽生選手くらいです。またもともと愛嬌があり、みんながファンになってしまう。点数をつけるほうも人間ですし、応援するほうも人間なので、そういったものを持っているのも彼の強みだと思います。
──ネイサン・チェンについてはどうですか。
もともと滑るスケートではないけれど、彼は足さばきが目を引きます。バレエをやっていたためか、ステップを踏んでいるときのきれいな足の使い方は、今までいそうでいなかった選手。ジャンプよりもそちらのほうに目がいきます。ベテランになったときにどんなスケーターになるのか、すごく楽しみです。今度のオリンピックを通過点として、たとえメダルをとっても続けてほしい。ずっと長く見ていたい選手です。
――金博洋については、どうですか。
昨シーズンに比べ表現という部分で変わりつつあります。最初はシャイなのかなと思ったけれど、良いプログラムに出会えて自信をつけてきている印象があります。スケーティング、ステップではまだ少し動きが硬い部分はあるけれど、これは年齢に関係なく成長できる部分なので練習するしかありません。ジャンプに関しては、飛距離よりも高さ重視で、迫力には少しかける部分がありますが、全て完璧に決めてきたらメダル圏内に食い込んでくる可能性もあります。