高齢者などへの個人投資家向けセミナーで数多くの講師をこなす株式評論家の木村佳子氏は、その魅力をこう解説する。
「映画鑑賞券や食事券という株主優待や、企業配当を楽しみながら生活の中に取り込んでいる年金生活者が意外と多くいることに気付かされた。これも株式投資の大きな魅力の一つ」
しかし、上場株は東証1部のメガバンクやトヨタなど大手企業だけではない。
知名度はないものの、東証の新興市場とされるマザーズやジャスダックに上場する新興市場銘柄は、大企業よりも株価変動率が高く、手っ取り早く儲けたい人には、お薦めだ。
「65歳以上の方は高度経済成長期に育ち、バブル経済とその崩壊、その後の失われた20年を、肌身をもって経験している。その経験と感性を株式投資に生かすべき」(木村氏)
新興企業には新規上場(IPO)から間もない企業、業績拡大期にある企業が多いことが特徴だ。
増収益を続ける企業の成長過程で投資することができるのが新興市場銘柄への投資の醍醐味だ。ある特定分野(ニッチ)で事業を拡大している企業はゴロゴロしている。
例えば、ラーメンチェーン「一風堂」を展開する力の源ホールディングスは昨年3月マザーズに初値2230円で登場し、昨年9月割当の1対2の株式分割を経て、株価は現在2500円近辺にある。株式分割は最低投資単位を引き下げ、買いやすくし、株主数を増やす手段だが、同社を初値で買って現在も持っている投資家の株価は今、2倍以上、さらに保有株も2倍に増えている。
一風堂はパリに3号店を出店するなど国内外の店舗は100店超に増加中で、今期末の配当は年3円予定で株主優待は自社飲食割引カードが年2回もついている。「株主優待」「配当」に加えて株価上昇によるキャピタルゲインもダブルで満喫できた好例だ。
※週刊朝日 2018年2月9日号より抜粋