社員が育児休業を取得すると、職場の同僚全員に“お祝い金”最大10万円が支給される取り組みをしている「三井住友海上火災保険」。実施して2年、その効果とは? 人事部・企画チームの宮岸弘和さん、柴山佳瑶子さんに聞きました。

MENU 子育てをフォローするメンバーにも支援を はじめは、男女で金額を分けていた? 実施から1年半で、延べ1万4000人以上が受給 目指すは多様な人材が活躍できる組織

子育てをフォローするメンバーにも支援を

――「育休職場応援手当(祝い金)」を創設された背景を教えてください。

 きっかけは、2022年12月。「深刻化する少子化問題に、一企業ができる対策は何かないだろうか?」という舩曵(ふなびき)真一郎社長からの一言が発端でした。当初は「社員の子どもが生まれたら、ひとりあたり100万円支給」という案を検討していましたが、人事部内で議論を重ねるなかで、「育休を取得する本人への支援をさらに拡大するよりも、フォローする職場のメンバーに対する支援の方が効果的なのでは?」という声が上がったんです。

 当社では、それまで育休や育児支援など当事者向けの施策に力を入れており、今回さらに手厚くすることで、当事者以外の社員との間に不公平感が生じるのではないかという懸念がありました。また、職場メンバーを支援することで、会社全体で出産育児を応援する企業風土の醸成につなげたいとの思いから「同僚への応援手当」の案を社長に打診したところ、それはいいね、との賛同が得られ、すぐに制度化が決まりました。

はじめは、男女で金額を分けていた?

――応援手当は、3000円から最大10万円までと、幅があります。どのように額を決めているのでしょうか。

 支給額は、職場規模と育休取得予定期間によって決めています。支給対象は、課やセンター、チームなど、組織の最小単位。職場の人数が少なくなるほど、支給額も増えていくしくみです。また、育休取得予定期間が3か月以上か3か月未満かによっても額は変わってきます。例えば、10人のチームで、3か月以上育休を取る人がいたら、メンバーへの支給額はひとりあたり10万円。支給は正社員だけでなくパート職員も対象としています。

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AERA with Kids+編集部
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