いつか必要になるかもしれない介護への備えは十分?(※写真はイメージ)(c)朝日新聞社
いつか必要になるかもしれない介護への備えは十分?(※写真はイメージ)(c)朝日新聞社
介護に要する期間や費用(週刊朝日 2018年2月2日号より)
介護に要する期間や費用(週刊朝日 2018年2月2日号より)

 介護は突然やってくる。その時に慌てると、大切なお金をムダにしてしまう。一体どういうことか。介護の取材が長く、共著『介護破産』などがある村田くみ氏が解説する。

【図表で見る】介護に要する期間や費用はどのくらい?

 関西に住む女性(56)は、同居する父が78歳の時に自宅の階段から転落し、入院した。大きなけがはなく1週間足らずで退院したが、体の機能が衰えた父をいかに自宅で支えるかが新たな心配事になった。

 父のためにリクライニング機能付きベッドを慌てて買ったが、手すりがなく、うまく起き上がれない。「10万円近くをドブに捨てたようなもの」と嘆く。

 遠距離介護中の60代女性も、一人暮らしの母に認知症が出始めた際、心配で民間の家事代行サービスに24時間の見守りを頼んだ。1日2万円、2週間で計約30万円も使ってしまった。

 介護の初期は混乱し、車椅子など高額な介護用品を衝動買いしがち。後になって、1カ月数百円で借りられたり、杖などを無料提供してくれたり、様々な地域独自のサービスに気づくこともある。

 介護の道を歩み始めた人たちにとって、頼りになる存在は、ケアプランをつくるケアマネジャー。しかし、任せきりは禁物だ。

 10年前から、母(84)の介護を続ける筆者には、こんな経験がある。

 母が入院していたときのこと。退院を促された際、ケアマネはショートステイを使うプランを紹介してくれた。しかし、当該施設からは、「お試し期間を経て入居決定まで1カ月以上かかる」と告げられた。

 そこで、主治医に退院後の療養を相談すると、病院の医療連携室にいる「医療ソーシャルワーカー」への相談を勧められた。退院後の生活などを助言してくれる存在で、入院費など主治医に聞きにくい相談もできる。「うちの病院から何人も紹介実績があるので、すぐ利用できますよ」。そう言って、自宅からやや離れているが同じ自治体内の特別養護老人ホームを紹介してくれた。おかげで、退院後すぐに特養のショートステイを使うことができた。

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