妻:相手は仕事上の知り合いなので、変な電話の内容でも我慢してました。でもどんどん言動がエスカレートして怖くなって。最後には私も家族も危害を加えられそうになって、警察に届け出たのはもちろん、弁護士も立てたんです。
夫:一人暮らしは危険なので、彼女は実家に戻りました。そのとき、僕も関西から上京して、引っ越しを手伝ったりして。
妻:そんな中、彼の友人の結婚式が神戸であったんです。息抜きも兼ねて一緒に行ったんですけど……。
夫:同世代が集まってわいわい、お互いの仕事の話なんかをするわけです。
妻:でも私はそんな状況だから、先行きがまったく見えない。事件のせいで仕事どころじゃないし、何よりストーカーが怖くて外出もままならない。
夫:ホテルに戻って、彼女、号泣して。
妻:情けなくて、悔しくて、心細くて……そのとき、彼が言ってくれたんです。「君は仕事を続けるべきだ。君の才能は、僕が一生かけて証明してみせる!」って。
夫:照れくさいな……。
妻:すごいこと言うなあ、この人、って(笑)。感動したというより、驚いた。普段そんなこと言う人じゃないんです。どちらかというと不器用ですから。