丹羽宇一郎(にわ・ういちろう)/1939年、愛知県生まれ。早稲田大学特命教授、伊藤忠商事名誉理事。62年、名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。飼料原料部長、食料部門企画管理部長などを経て、98年に社長就任。約4000億円の不良債権を一括処理するとともに、業績をV字回復させた。2004年に会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを経て、10年に民間出身初の駐中国大使に就任。近著に『死ぬほど読書』『戦争の大問題』。(撮影/写真部・大野洋介)
丹羽宇一郎(にわ・ういちろう)/1939年、愛知県生まれ。早稲田大学特命教授、伊藤忠商事名誉理事。62年、名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。飼料原料部長、食料部門企画管理部長などを経て、98年に社長就任。約4000億円の不良債権を一括処理するとともに、業績をV字回復させた。2004年に会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを経て、10年に民間出身初の駐中国大使に就任。近著に『死ぬほど読書』『戦争の大問題』。(撮影/写真部・大野洋介)
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 伊藤忠商事会長、民間出身初の駐中国大使として活躍した丹羽宇一郎さん。誰もが認めるエグゼクティブでありながら、気さくなお人柄も印象的です。『死ぬほど読書』という本を出版した丹羽さんは作家・林真理子さんとの対談でも読書の話に。おふたりはその重要性を語りました。

*  *  *

丹羽:僕は中学生のころから「夫婦生活」という大人向けの雑誌とか、『アルス・アマトリア』という古代ローマの恋愛指南書なんかを読んでいました。僕にとって女性というのは神秘的だったんですよ。まだ実技がぜんぜんないわけだから。

林:田舎の中学生ですからね。

丹羽:同じ時期に、「大法輪」という仏教の雑誌も読んでいたんです。

林:すごいですね。「夫婦生活」と一緒に読んでいるなんて(笑)。

丹羽:漫画も春本もいっぱい読みました。そういうものからも学びがあるんです。若い人に「好きなものを読みなさい」と言うことは大事だと思います。今の人は女性に神秘性を感じないんですよ。インターネットでいつでも実体を見ることができるから、本から情報がほしいだなんて思わない。すぐに答えがわかるから、好奇心や想像力に欠けてしまっているんじゃないかな。

林:会長が、「女性とはこんなに素晴らしいものなのか」と初めて思われた恋愛小説は何ですか。

丹羽:子どものとき、恋愛小説は読みませんでした。偉人物語や『世界少年少女文学全集』ばかりでした。

林:大人になってからは?

丹羽:谷崎潤一郎とかでしょうか。でも、渡辺淳一さんに会ってから、恋愛小説を読むのはやめました。

林:どうしてですか。

丹羽:小説はファンタジーだと思っていたら、彼は「実体験をふくらませなければ小説は書けない」と。作家の経験を追いかけるくらいなら、自分で想像したほうがいいやと思っちゃいました。

林:でも、日経新聞の連載だった『失楽園』は読まれたんでしょう?

丹羽:読んでいました。ああいう小説は、裸の挿絵があると読みたくなります。裸の挿絵がある回だけ読んでも、なぜか話がつながるんです(笑)。僕は大河ドラマも見ないし、新聞小説も読みません。学生時代以降、小説はあまり読みません。

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