北朝鮮が日本へ向けてまた、ミサイルを撃った。政府は8月29日午前5時58分頃、北朝鮮の西岸から北東に向けてミサイル1発が発射され、6時6分頃に北海道の上空を通過、6時12分に襟裳岬の東方約1180キロの太平洋上に落下したと発表した。予告したグアムではなく、なぜ、日本なのか。今後の北朝鮮のミサイル発射計画とは? 軍事ジャーナリストの黒井文太郎が分析した。
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北朝鮮のグアム射撃計画は、ミサイル「火星12」の開発に成功したことを受け、米国への攻撃能力を手に入れたと全世界に誇示したことにほかならない。すなわち「対米抑止力の強化」である。
米韓合同軍事演習を強く非難する北朝鮮はいつも米韓軍事演習の時期に、新たな実験を繰り返してきた。
核ミサイル開発をするのはアメリカのせいだと言って、実験の口実に利用するのだ。したがって、今後も北朝鮮は新たな実験をいくつか行うはずだ。
次にやることは何か? ひとつは、新型の潜水艦発射型ミサイル(SLBM)の発射だ。北朝鮮は昨年8月、潜水艦発射型ミサイル「北極星1」の発射に成功している。飛距離は約500キロだった。あれから1年が経過しており、そろそろ次の発射実験が行われても不思議ではない。
実際、北朝鮮の潜水艦の動きが活発化しており、新たな発射実験の準備ではないかと警戒されている。また、23日付「労働新聞」には、金正恩氏が国防科学院化学材料研究所を視察した写真付き記事を掲載したが、そこに「水中戦略弾道ミサイル 北極星3」と書かれた図が写っていた。北極星3は、おそらく北極星1の進化版だ。
さらに国防科学院視察の記事で注目されたのは、新型の大型ミサイル「火星13」だ。「火星13」と書かれた3段式ミサイルの略図も写っていた。
この火星13がどこまで実現化されているのか不明だが、3段式ということは間違いなくICBMだろう。性能の強化、射程が伸びていると推測される。