この「ナイス・エイジングのすすめ」というテーマは、週刊朝日がなくなっても、どこかで書き続けたいと思っています。読者の方は、それを期待してください。

 雑誌については、原稿を書くだけでなく、取材されるのも好きです。最近、取材されることが多くなりました。86歳で現役医師というのが貴重なのかもしれません。

 取材が好きなのは、私が話したことを実にうまく、まとめてくれるからです。つい最近もある月刊誌から取材を受けましたが、初対面でたった一回話をしただけで、見事な出来栄えでした。

 いまでも印象に残っているのは、『ぼくが医者をやめた理由』(角川文庫)の著作がある永井明さんの取材です。病院で一日、私に密着したのですが、出来上がった記事のタイトルが「孤独なる荒野のガンマン」。ホリスティック医学という未知の世界にただ一人で歩み始めた私の姿を正しく表現してくれたのです。うれしかったですね。

 雑誌は書くのも取材されるのも、大好きです。その雑誌が一つなくなってしまうというのが、とても悲しいです。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2023年2月24日号