――元AV女優という経歴に、どうしても関心が集まります。
いつまでも「元AV女優」とレッテルを貼られるのは残念だが、自分の過去に後悔はない。それも覚悟してやっていた。現場に関わる多くの人たちには感謝しているし、愛情もある。AV業界にはどこかシェルターのような役割もあると思う。私のような被害者もいるし、性に悩む人もいる。そこに生きがいや芸術性を見いだす人もいる。
AV業界はなくなって欲しくはない。だからこそ、整備しなければいけないこともある。業界が抱える多くの問題は、どこかで考え直さないといけなかった。引退しても、本人に連絡もないまま、過去の作品が新たな商品として発売される。モデルの女性が弱者となっている状況は変えるべきだ。いま改善の動きもあるので、良くなかったことはきれいになくなればいい。
――これからはどういったことに取り組んでいきますか。
本を出したことで、過去については、少し清算できた。できれば、性犯罪の被害者と話をしてみたいと思っている。同じように悩み苦しんでいる人の声を、きちんと受け止めたい。写真を撮ったり絵を描いたりするのは自分の中では自然なことなので、続けていく。7月9日まで「神保町画廊」(東京都千代田区)で写真展を開いている。8月10日午後8時からは、東京・下北沢の本屋B&Bで出版記念トークイベントも予定している。
(本誌・多田敏男)
※週刊朝日 オンライン限定記事