15歳の高校生の時、見知らぬ男に暴行されたことをカミングアウトした大塚咲さん(32)。壮絶な体験を本にした思いや、元AV女優として業界が抱える問題などについて語った。
――自叙伝とも言える著書「よわむし」を出すきっかけは?
いつか自分の体験を発信できる日がくるんじゃないか、と思い続けてきた。AV女優としてインタビューされる機会はあったが、過去を明らかにするなら、自分で書いた方がいいという思いがあった。女優を引退して5年たち、写真や絵画の活動に落ち着いて取り組めるようになり、今年がいいタイミングだった。自分から書きたいと提案し、3月から3カ月程度で集中してまとめた。
見知らぬ男にナイフを突きつけられることが実際にあるんだと、知ってもらいたかった。被害を受けて、私と同じように苦しんでいる人は多いと思う。心の症状が出て、どうすればいいのか分からない人もいるはず。私の実例が、ちょっとでも参考になればうれしい。
――家族にも被害を打ち明けられなかったんですね。
親に言っても、友達に言っても、「それでどうなるの」と、ネガティブなイメージしか浮かばなかった。子どもはどこに相談していいのかもわからない。警察に申告したところで、犯人が捕まったところでどうなるの。心の傷が消えるわけではない。心の症状を改善しようと精神科病院に行っても、薬は出されたが、十分な対応をしてくれたようには感じなかった。
だいぶたってから、ごく一部の人に打ち明けたが、「終わったことだろう」といった言葉を投げかけられた。悪気はない一言でも、どれだけ傷つけられたか。相手と距離が生まれ、深い人間関係が築けなくなってしまう。今ではセカンドレイプという用語が知られるようになった。被害者の言葉は否定せず、受け止めて欲しい。