日本食品の輸入規制をする31カ国・地域(週刊朝日 2017年6月30日号より)
日本食品の輸入規制をする31カ国・地域(週刊朝日 2017年6月30日号より)
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 福島原発事故から6年が経過した現在でも、海外の31カ国・地域で日本産食品の輸入規制が続く現実がある。安倍政権は食の安全性の理解を求めるが、全面解除までの壁は厚い。背景には何があるのか。ジャーナリストの桐島瞬氏が取材した。

 昨年3月、韓国のソウル市で日本政府などが主催する日本酒のフェスティバルが開かれた際、韓国内の11の環境団体からイベントを中止するよう要請があった。

 福島原発事故後、韓国政府は、東北や関東などで生産された日本産食品の一部を輸入停止にしている。

 日本酒フェスティバルに参加する企業の中には、東北地方の蔵元が複数含まれていた。これでは市民の安全を考慮しているとは言えない、というのが中止を求めた理由だった。当時の状況をソウル駐在員が語る。

「環境団体らが記者会見を開き、声高にフェスティバルの中止を主張していました。ですがこれらの蔵元の酒は、すでに韓国内で流通しているもの。日本大使館が放射能の問題はないと発表してイベントは無事に開かれましたが、韓国で放射能アレルギーがまだ強いことを思い知らされました」

 こうした反応は韓国だけではない。福島原発事故から6年がすでに経過したが、今でも31の国と地域で規制が続いている。

 シンガポールでは、福島県産の野菜や果物の輸入を全面停止。県外の一部地域産の食品にも放射性物質の検査証明書を義務付ける。

 規制解除を求める日本は、安倍晋三首相が2014年5月にリー・シェンロン首相と会談した際、リー首相から全面解除を決めたと伝えられた。

 ところがその後、規制は一部緩和されたものの、福島第一原発に近い10市町村産の全食品と農産物、それに県内の林産物と水産物は輸入停止を継続。それ以外の都道府県産の食品にも産地証明などが必要なままだ。

 日本側は肩透かしを食らった格好だが、所管の農林水産省は歯切れが悪い。

「流通や輸出される食品は放射性物質の検査を行い、安全性が確保されています。ですが、規制を解除するしないはあくまでも先方が決めること。これからも解除に向けた交渉をしていくことを考えれば、たとえ首相同士のやり取りでも、『あのときに言ったではないか』とは言いづらい」(食料産業局輸出促進課)

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