ファンは夏の甲子園球場で本塁打を見たい (c)朝日新聞社
ファンは夏の甲子園球場で本塁打を見たい (c)朝日新聞社
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 “怪物”清宮幸太郎がいよいよ高校通算100号を射程内に捉えている。だが、早稲田実が夏の甲子園に出場できるのか。ファンは気をもんでいる。

 5月22日に茨城・ひたちなか市民球場で開かれた春季関東大会準々決勝の作新学院(栃木)戦で、右翼場外へ推定130メートルの特大ホームランを放ち、高校通算95本とした。清宮見たさからか、球場には大勢の観客が集まった。地元のタクシー会社は朝から予約が殺到し、球場と最寄り駅を何往復もしたとか。

 清宮人気もあってか、早実は“全国ツアー”並みに親善試合や招待試合で各地を回っている。5月27~28日には沖縄で4試合をこなし、6月に愛知や香川などで試合が予定されている。5月13~14日の本での招待試合では、場外弾でファンを喜ばせた一方、今春センバツベスト4の秀岳館戦では、前代未聞の事態が発生。早実が追う展開の九回2死無走者で、清宮の前の打者が敬遠され、清宮は内野ゴロに終わった。秀岳館の鍛治舎巧監督が、エースに清宮との対戦を経験させたかったからということだが、球場に集まった観客の気持ちも“忖度”したのかもしれない。だが、関係者によると、さすがに清宮も怒っていたようだ。

 各地で話題を振りまく清宮だが、一時は実力を疑問視する声も出た。昨年の秋季東京都大会決勝で、日大三のエース櫻井周斗の前に、5打席連続三振を喫した。「ホームランの数はすごいけど、練習試合を多く組んでいるからじゃないのか」など疑念が渦巻いた。

高校野球ドットコム」の河嶋宗一副編集長は、その疑念を否定する。

「確かに5連続三振は話題になりましたが、櫻井君のようなプロ注目のサウスポーを簡単に打ち崩すのは難しい。ですが、球を引きつけて打つなど打撃技術が高く、厳しいコースをホームランにできる清宮君ですから、こういったハイレベルな投手と対戦することで、さらに成長するのではないでしょうか。彼は研究熱心ですし」

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