■「かど家」池波正太郎がこよなく愛した鶏鍋
創業文久2(1862)年。当時は近くにシャモ、カモ、キジなどを扱う鳥市場があり、岡崎出身の初代は八丁味噌で煮るシャモ鍋を始めた。今使っている鶏はシャモと地鶏を掛け合わせたもので、滋味深く、濃厚な味噌にも負けない。池波正太郎がこよなく愛し(下写真の部屋を利用)、鬼平が通う「五鐵」のモデルといわれる。鶏がらスープで煮込んだ鍋もある。コース7000円(料理2品と鍋、税・サ別)
東京都墨田区緑1-6-13/営業日:17:30~21:00L.O./定休日:日祝
■「両国どぜう桔梗家」歯ごたえの良い天然ものにこだわる
だし作りのために鰹節を削るところから始め、毎朝仕込みに6時間もかけるという。扱うドジョウは「真冬以外は、天然ものを出します。ほのかに土の香りがするし、身や骨の歯ごたえもいいんですよ」(店主の堀木章夫さん)。丸ごと入った丸なべ(1200円、写真は2人前)のほかに、開いて骨を取った骨ぬきなべ、卵でとじた柳川なべ(ともに1300円)も。またウナギ、コイ、冬ならナマズも扱っている
東京都墨田区両国1-13-15/営業時間:11:00~14:00 16:30~21:00/定休日:日祝(1・5・9月の日祝は夜のみ営業)
天保4(1833)年に回向院(えこういん)境内が春秋の定場所となって以降、相撲興行は両国で発展。明治42(1909)年には旧国技館が建てられた。
また、この街は江戸きっての盛り場で、グルメタウンとしても知られていた。
享保3(1718)年創業の猪鍋「ももんじや」、文久2(1862)年創業の鶏鍋「かど家」など、当時のご馳走を今に伝える老舗が健在だ。
昨年11月、両国駅旧駅舎を改装し「両国江戸NOREN」という食施設がオープンした。1階広場に据えられた土俵を囲むように、江戸料理を供する12店が軒を連ねている。
一方でモンゴル料理店があるのも、大相撲の現状を反映して興味深い。伝統的料理や羊肉に舌鼓を打っていると、力士がやって来るかも?
※週刊朝日 2017年5月26日号