このオメガ6系の害を抑えるとして注目が集まっているのが、オメガ3系。エゴマ油やアマニ油、魚のアブラなどに含まれている。
アブラと脳は深い関わりがある。脳の多くは水分が占めているが、残る脳組織の65%は脂質(アブラ)からできているからだ。
なかでも神経細胞を包む細胞膜は「食べたアブラでできている」といえるほど。守口さんによると、細胞膜は、オメガ6系をとるとオメガ6系主体に、オメガ3系をとるとオメガ3系主体になるという。DHAなどの魚油はオメガ3系だ。
「細胞膜は神経細胞自体を守るだけでなく、栄養やエネルギーを届けたり、不要になったものを排せつしたり、重要な役割を果たしています。その細胞膜がどんなアブラで構成されているかで、脳機能のパフォーマンスが変わってきます」
昔の日本人はよく魚を食べたので、脳機能がいい状態に保たれていたと考えられるが、現代人は低下してきているともいわれている。「魚を食べると頭がよくなる」というよりは、「欠乏で悪くなる」というのが真実のようだ。
前出の守口さんはマウスを使った実験で、オメガ3系をとると学習能力が改善するだけでなく、オメガ3系の欠乏でストレスを与えたときに強い不安を感じたり、キレやすくなったりすることを突き止めた。妊婦の産後うつにも関係するデータも出てきている。
認知機能にも影響を及ぼす。脳内で情報伝達を担う細胞膜にオメガ3系のDHAが行き届くと脳が活性化して、情報のやりとりがスムーズになるという。
「認知機能をベストな状態にしたいのであれば、オメガ3系の摂取を増やすしかありません」(守口さん)
気になるのは、加工食品には、どれくらい、どんなアブラが使われているのか。植物油研究家で歯科技工士の林裕之さんは、加工食品のパッケージの横や裏などにある「原材料表示」をチェックするのがポイントだと話す。
「原材料表示に、植物油脂、植物油、あるいはごま油、大豆油、ひまわり油、コーン油などと明記されている加工食品には、オメガ6系のアブラが使われていると理解しましょう。一方、動物油やラード、牛脂、パーム油などは飽和脂肪酸のグループに、オリーブオイルはオメガ9系のグループに入ります」(林さん)