5歳のときインドで迷子になり、オーストラリア人家族に引き取られた男性が、グーグル・アースで故郷を探し、25年ぶりに実母に会いに行く──。サルー・ブライアリー氏(36)の自伝を元にした映画「LION/ライオン ~25年目のただいま~」。映画を見たロバート キャンベルさんは、ぜひサルー氏に会いたかったという。
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ロバート キャンベル(以下、ロ):映画化おめでとうございます。ご覧になった感想は?
サルー・ブライアリー(以下、サ):本当に驚きました。描写がリアルで魂が揺さぶられました。見ながらいすのシートに爪を立ててしまったほどです(笑)。
ロ:あなたは5歳のとき兄に連れられて駅に行き、回送列車に乗って寝てしまった。そのまま遠くコルカタ(カルカッタ)まで運ばれてしまったのですね。
サ:本当に映画のとおりだったんです。電車に閉じ込められて出られない、どこに行くかわからない。あの感覚は本当に恐怖でした。
ロ:興味深いのはあなたの「言葉」についての体験です。あなたはヒンディー語で育ち、しかしコルカタはベンガル語で言葉が通じず、路上で過ごすことになる。その後オーストラリアで英語を学んだ。2度も言葉が変わっています。
サ:もともとヒンディー語はそんなに話せなかったんです。僕は学校に行っていなかったので、単語をポツポツ言う程度でした。
ロ:そうだったんですね。
サ:もちろんコルカタで言葉が通じていれば、家に帰ることができたかもしれません。でも自分の町の駅の名前もわからなかったんです。
ロ:過去のことは英語で思い出すのですか?
サ:そうです。僕は英語を話せるようになるまで、オーストラリアの両親にも自分の過去を話すことができなかった。あとになって彼らも「そんなに苦労をしたのか!」と驚いていました。
ロ:あなたのお母さんは部屋にインドの地図を貼ってくれていたそうですね。
サ:ええ、自分のルーツはいつも意識していました。母はインドの文化が大好きでインド料理もよく食べさせてくれたんですよ。
ロ:お母さんはあなたが故郷を忘れないように仕向けていたのですね。
サ:わざとそうしていたんだと思います。母はとても戦略的な人なので(笑)。