人気書道家として活躍する武田双雲さんも、NTTを辞め独立したばかりのころは、仕事もなく苦労したそう。そんな時代を支えていたのが妻・玲子さんだ。
※「武田双雲 NTTを辞めて書道家になった理由」よりつづく
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――03年に結婚。夫は妻の意外な面を知ったという。
夫:結婚するまで、玲子は僕についてきてくれるタイプだと思ってた。でも違った。
妻:そう?(笑)
夫:びっくりしましたよ。「こんなにハッキリと意見を言う人なんだ!」って。まず彼女はプレゼントを断固として受け取らない。結婚10周年に「記念だから何か買わせてよ」とデパートに連れていっても、買わせてくれない(笑)。
妻:物は必要ないから。
夫:「買いなよ」「いらない」と1時間くらいやり合ってたら、人だかりができちゃって。結局、6千円くらいのネックレスを、なんとか受け取ってもらった。
妻:大学時代はフェラガモの靴を履いたりしてたんですけどね。いつからそうなったんだろう。
夫:僕が独立して、お金がなかった時代のトラウマじゃない?
妻:そうかも(笑)。確かに「気難しい人より、このくらいおおらかな人のほうがいいかな」と思って結婚した。でも一緒に暮らすとやっぱり大変。
夫:僕、なんでも思い付きでやるからねえ。
妻:朝起きたら、新築の家の襖に書が書いてあったことも。
夫:どうしても書きたくなって夜中の2時に書いちゃった。
妻:「何、これ!!」って。壁とか階段にも勝手に落書きするし……。
夫:新婚のころ、ベルギーでの仕事に玲子もスタッフとして同行した。最初は「新婚旅行みたいだね」なんて言ってたけど、僕が興奮してすぐに迷子になるから、玲子はカンカンで。
妻:主人は集団行動がまったくダメ。あれは成田離婚レベルでしたね。
――夫は09年にNHK大河ドラマ「天地人」の題字を担当。書の世界に親しみをもたらし、その人気はますます高まっていく。だが多忙を極めた11年、ついに体が悲鳴を上げた。