――夫にとって書は「相手にプレゼントするもの」なのだという。
夫:僕はアーティストタイプじゃないから、自ら書きたいものがあるわけじゃないんです。それより「どうやったら人の感情が動くか」「どうやったら喜んでもらえるか」に興味がある。
妻:「どれがいい?」とかよく聞いてくるよね。
夫:自分の美意識だけじゃ狭いし、何が人に求められるかを考える。うまいだけの書には何の魅力もないし、新しさもないといけない。探りながらずっとやってきている感じですね。
――昨年末、オーガニックカフェをオープンさせ、夫婦は新たなスタートを切った。
夫:僕、またいつものように何もわからずに「やりたい!」って始めたけど、すっげえ大変なんですね、飲食店って。
妻:大変ですよ……。
夫:でも楽しいじゃない?僕は“新しい夫婦の始まり”みたいな気がしてる。やっと玲子の大変さや気持ちもわかってきたし。
妻:本当かなあ(笑)。
夫:玲子にとって僕は、まだ昔のままのイメージがあるみたい。ファンの方から手紙をいただくんですけど、それを見て「へえ。本当にあなたの書を好きな人っているんだ」とか言うんですよ!
妻:「なんでこの人、あなたのこと、こんなに知ってるの?」とかね。
夫:テレビで話したからだってば!(笑)
妻:この間もショッピングモールに行ったら、彼が「あ! サングラス忘れた!」って言うんですよ。「だ~いじょうぶ、誰もあなたのことなんかわかんないから」って言うんだけど。
夫:テレビに出た後2、3日くらいは、声かけられるんだから。
妻:そう?
夫:いや、あのね、みんなそのとき言わないで後から「あのとき歩いてましたね」「トイレで隣でした」とか言うんだよ。「えーっ! そのときに言ってよ!」って。それが恥ずかしいの。
妻:そうなんだ(笑)。
※週刊朝日 2017年4月7日号より抜粋