16年まで3年連続で志願者数がトップだった近畿大。17年も12万人を突破し、4年連続の勢いだ。

「近大マグロ」で全国に知られたPR戦略は、経営者らも注目する。1月には「早慶近」と大書した全面広告を新聞に掲載し、新たな機軸を打ち出した。

 英国の教育情報誌が発表する「THE世界大学ランキング」で、近大は早稲田大と慶應義塾大に並び、日本の私立総合大学として800位以内に入った。それを受けた内容だ。ただ、広告の終わりには「でも、さすがに“早慶近”て。言いだした自分でもアホくさくて、笑てまうわ。」とオチもつける軽妙さ。安田さんは「批判を恐れないPR戦略は大学の中で抜きんでている」と分析する。

 ここ数年強まるのが、雇用環境改善による「文高理低」の傾向。このためか、千葉工業大など理工系大学の苦戦が目立つ。一方で、芝浦工業大は前年から約5千人増やした。なぜか。

 芝工大は埼玉県の大宮、東京の芝浦・豊洲の計3キャンパスあり、学生は3年次にキャンパスを移動することが多い。一方で、17年度新設の建築学部は、4年間を通して豊洲で学べるようにした。入試部の山下修さんはこう話す。

「入学相談会などで、東京近郊に住む保護者から『豊洲だと自宅から通えてありがたい』との声を多く頂きました。自宅通学だと経済的な負担が減り、需要は高いなと感じました」

 集計途中の東京農業大も前年比11.7%増で3万人を突破し、昨年の最終志願者数を大きく上回った。

「食品関連の産業は景気の影響を受けにくいため、農業系の学部は就職状況がいい。東京農業大に限らず、最近は若者の間で農業ブームが起きており、女子の農学部人気も高まっている」(前出の小林さん)

 関西圏では同志社大が好調だ。昨年の最終志願者数をすでに11.7%上回った。大阪大が後期日程を廃止した影響で、国立大受験者の併願先になった可能性がある。

 私立一般入試の全体の傾向として、首都圏や関西圏など都市部での志願者増加が著しい。主に二つの要因があるとみられる。

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