今回、協議会が作成している資料には、欧州で「実験およびそのほかの科学的目的」に使われる犬のために導入されている飼養施設規制などが紹介されている。そして、それらよりも狭い「業界基準」の策定をめざすとも受け取れるチャート図が示されている。動愛法の週齢規制の時と同様、飼養施設規制を業界寄りの内容に着地させたい意図が透けて見える。

 先の16年6月作成の資料を見ると、今回の協議会には共立製薬、アイペット損害保険、インターズー、日本アニマル倶楽部、ゾエティス・ジャパン、アニコム損害保険の6社が「賛助会員」として名を連ねているのも特徴的だ。6社はいずれも、犬の飼い主と直接的な接点を持つ企業で、社会的な影響力が大きい。

 この6社に1.協議会に関わることになった経緯や理由2.賛助会員になった経緯や理由、賛助金額3.策定しようとしている業界基準への賛否などを尋ねる質問書を送り、期限までに4社から回答を得た。

 対面取材に応じたペット保険最大手のアニコム損保は、欧州の制度を数値的に下回る業界基準の策定を検討していることについて「そういう説明や話はあったが、まだ確定していないと聞いている。業界基準が動物を大切にするということと大きくかけ離れるのであれば、(協議会から)脱退することも検討する」(瀧澤茂雄・経営企画部長)としている。

 協議会作成の各種資料に目を通した日本動物福祉協会の調査員、町屋奈(ない)獣医師はこう指摘する。

「業界として、犬や猫が健全に繁殖や生活ができるような環境をつくっていくべきなのに、自分たち業界側の利益をいかに守るかを考えているように受け止められる。残念だ」

 協議会の活動目的などについて石山会長に取材を申し込んだが、事務局から「明確な話ができる段階ではない。申し入れはお断りする」との回答があった。

週刊朝日 2017年1月20日号

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