「こたつホッケー」の競技風景。なんともゆるい(写真:世界ゆるスポーツ協会提供)
「こたつホッケー」の競技風景。なんともゆるい(写真:世界ゆるスポーツ協会提供)
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 イモムシラグビー、こたつホッケー、手錠バレー、100センチ走!?

 日本発「ゆるスポーツ」という名の新競技がプチブレークしそうだ。運動音痴も障害者も高齢者も一緒に楽しめるのが特徴で、2016年4月に「世界ゆるスポーツ協会」が設立、参加人口は1万人を超える。

 普及の中心人物は「足が遅く、肩の脱臼癖がある」コピーライターの澤田智洋さん。普及策に悩むハンドボール関係者にキャッチコピーを依頼されたのがきっかけ。「新競技を作るのは違法じゃない」と思い立ち、老若男女が親しめるように、ハンドボールを「ゆるく」したのが第1号の「ハンドソープボール」だ。

 この競技では、ハンドソープ2回分を手につけて競技を開始。反則したりボールを落とすと、さらに1回分追加される。手はヌルヌルで、素早く投げる、キャッチするなどできやしない。参加のハードルを低くし、既存競技のすそ野を広げようというわけだ。

 そんなゆる~い試みに、自治体や企業も関心を寄せる。「雪合戦」の希望があがった徳島県では、徳島大と新競技「OUR合戦」を完成。玉が当たった人はその場で阿波踊りを披露。地域振興の役目も果たす。

 福祉医療業界からの「長続きするリハビリを」とのニーズで考案した競技は「トントンボイス相撲」。土俵を手で打つのではなく、競技者がマイクに向かいトントンと声を出すと力士が跳ねる仕組みだ。声を出すことが健康にもいいらしい。

「成長産業がなく高齢化も進むからこそできた『ゆるスポーツ』。世界各国が高齢化を迎える時代には、日本が主導できるはず」

 東京五輪に向け、今はパラリンピック競技を「ゆるく」できないか考えているという。

週刊朝日 2017年1月6-13日号