週刊朝日ムック「眼のいい病院」でもその対策を特集するなど、年をとるにつれ気になる老眼。なかには自分に合った老眼鏡がないと悩む人も。そんな人のために、記者が体験取材で「正しい老眼鏡の作り方」を紹介!
老眼の自覚が早いのは「目がいい人」だという。
記者(51歳)も両目の視力は1.5。同世代の友人より早く新聞の文字がかすみ始め、45歳のときに「よし、老眼鏡を作ろう」と決意した。とりあえずお試しに、「レンズとフレームで5千円」を謳う某大手眼鏡チェーン店で老眼鏡(単焦点レンズ)を購入。
最初は「よく見える!」と感動したが、手元以外にはピントが合わない。人と話すときには「鼻メガネ」。わずらわしくて適当な場所に放置するから、必要なときに見つからない。
「よし、遠近両用を作ろう」と決意したのは49歳のとき。1枚のレンズで近くも遠くも見えるのだから便利そう。同じチェーン店で視力検査をして購入した。1万4千円なり。ところが、完成したメガネをかけると……世界がゆがんだ。慣れるまで1~2カ月かかると店では言われたが、本の文字列がひし形に見え、足元が不安になる。1カ月待たずにお蔵入りとなった。
実際、周囲にも「遠近両用メガネは使えない」という人は少なくない。この原因はいったいどこに?
「遠近両用のレンズはゆがみやすい性質があるのは確かです。でも、レンズの性質と度数の決め方が正しければ問題はないはずです」
そう話すのは、日本眼鏡学会理事長で、眼鏡光学の専門家の畑田豊彦氏だ。
遠近両用メガネには、「累進屈折力レンズ」が使われている。レンズ面の位置によって屈折力(度数)が変化する構造だ。おもにレンズの上部に遠くを見る「遠用部」があり、下部に手元を見る「近用部」がある。中間部分はゆるやかに度が変化する。視線を動かすことで遠中近のさまざまな距離を見るため、目の動きがレンズの構造に合っていないと、ゆがみが出やすい。