「累進屈折力レンズは日進月歩で開発が進んでいるので、最新式のものほどゆがみが生じにくいのです。そのぶんコストもかかっているので、質と値段は比例します。価格の安いレンズは、その人に合わない設計のものや、最終調整が雑な可能性が高い」(畑田氏)

 もうひとつの問題は度数だ。遠近両用は、遠用部と近用部で度数が違う。この差を「加入度数」と言い、数字が大きいほどゆがみが生じやすい。ちなみに記者のメガネは+2.25Dだった(Dは屈折力の単位)。

「初めて遠近両用を使う場合、+2D以上はゆがみを感じやすく慣れるのに時間がかかる。にもかかわらず、何の説明もなく高い加入度数のメガネをすすめるとすれば、そのスタッフの経験不足を感じます」(同)

 畑田氏は、メガネを作るルートが明快ではないことも問題だという。本来は、まず眼科に行って検査を受け、処方箋(指示書)をもらって眼鏡店に行くことになっている。しかし、現状では直接眼鏡店に行ってメガネを作ることもできる。

「老眼世代は、視力低下の背景に緑内障や白内障などの病気が存在する可能性があります。まずは眼科で診察を受けるべきなのですが、レンズやフレームのアドバイスは、眼鏡店のほうが丁寧にできるという側面があるのも事実です」(同)

 では、メガネの処方に定評のある眼科で検査をしてもらうのがいいだろう。梶田眼科(東京都港区)の梶田雅義医師を訪ねた。

 事情を話すと梶田医師は、「頭痛や肩こりなど、からだの不調はありますか?」と聞く。はい、もちろん。肩こりは職業病でバリバリだし、夜になるとテレビを見るだけで目の奥が痛む。

「遠視気味の人は『自分は目がいい』と思っていますから、老眼になっても裸眼で見ようとピント調節にがんばりすぎて、からだの不調になって表れるのです」

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