高尾霊園高乗寺にある忌野清志郎の墓(撮影/佐藤修史編集長)
高尾霊園高乗寺にある忌野清志郎の墓(撮影/佐藤修史編集長)
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 世代もジャンルも超えて愛されたミュージシャン、忌野清志郎が亡くなって7年。今でも、テレビで、ラジオで、街で、彼の歌声が響く。いつまでも愛される理由は何か。脳科学者の茂木健一郎氏は愛のある批判的ユーモアが好きだったと語る。

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 ぼくが清志郎さんのことを初めて認識したのは、RCサクセション時代の「雨あがりの夜空に」で、以来、その独特の音楽センスが大好きになりました。決定的だったのは、ザ・タイマーズの活動で、そのパンクな姿勢は、日本の音楽界では稀有だと思いました。タイマーズの清志郎さんは、そのすべてが好きです。天才だと思います。

 清志郎さんの音楽の根底にあったのは「愛」だと思います。そこには、自分を客観的に見る冷静な「メタ認知」があったと思います。自分のダメなところや欠点までを見つめるその姿勢は、イギリスのモンティ・パイソンなどのブラックユーモアに匹敵する、世界的な水準だと思います。

 愛に裏付けられた批判的ユーモアこそが、清志郎さんの真骨頂でしょう。その象徴が「化粧」です。化粧をしてステージに立つ清志郎さんは、「見られる」存在としての喜びと悲しみを、身体で表現しているように感じました。

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