食料品・飲料の値上げが続いている。家計防衛のために食費の節約は必須だが、安さにこだわる方法では体を壊しかねない。無理のない範囲で、食費を節約できる工夫やポイントを専門家に聞いた。AERA 2023年2月20日号の記事を紹介する。
* * *
帝国データバンクによると1月31日までに決定した今年中の飲食料品値上げ品目数は累計1万2054品目。2月は最多の約5500品目が値上げで、5月を除き夏まで月間2千品目超の値上げが常態化する可能性がある。食費の節約は外せない課題だが、一方で食事は体を作る土台であり、子供の食育であり、日々の楽しみである。単純に「安いが一番」とは言えない。それを前提に、家計簿・家計管理アドバイザーのあきさん、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん、消費生活アドバイザーの和田由貴さん、家事アドバイザー・All About節約ガイドの矢野きくのさんが口を揃えたのは「使い切る。ロスを出さない」。
「節約しているのにお金が貯まらないと言う人の大半は、安く買う、得する、ポイントを貯めるといったことに熱心な余り、使い切ることを疎かにしています。結果、傷ませて捨てる羽目になる。お酒など嗜好品では、たくさんあるからと消費量が増えてしまう」(和田さん)
値下げ品を見るとつい買ってしまうような人は、買い物の回数を減らす。週1回では食材を持て余す恐れがあるので、3~4日に1回にし、最後の1日は残った食材を一掃。在庫を無くしてから買い物に行く。
「スーパーでは最初に肉や魚の売り場へ。主菜を決め、それを念頭にほかの売り場をまわり、副菜に使う食材を購入すれば無駄がない」(和田さん)
生鮮食品は、新鮮なうちや賞味期限内に使い切れるか否かを判断し、購入する。使い切れなさそうであれば、割高でも少量購入を。あきさんの場合「たまねぎは1週間で5~6個も使わないので大袋入りは買いません。逆にキャベツは何にでも使えるので丸ごと買います」。
「冷凍野菜、缶詰、乾物をうまく取り入れて」と言うのは、矢野さんだ。値段が気候変動に比較的左右されず、日持ちする。冷凍野菜は旬の時期に収穫しているので栄養価が高い。
最後に、ファイナンシャルプランナーの黒田さんから提案。
「飲み物やランチは持参して、最低でも週1回、電子マネーも含め財布を持たずに出かける日を作る。飲食費はもちろん、買い物に費やす時間、車に乗るならガソリン代、家計簿をつける手間なども減らせます。さらに、目的を持ってお金を使えるように意識が変わります」
早速今日、試してはどう?(ライター・羽根田真智)
※AERA 2023年2月20日号より抜粋