A:「まず、塩化アルミニウム溶液の外用が効果的です。汗の出る穴をブロックして、汗を抑えます。また医療機器のイオントフォレーシスには、わきの下に通電するタイプもあります。わきにも効果があり、ヨーロッパやアメリカでは広く使われています。ただし、手や足と比べると効果はやや低く、効果が現れるのに数週間以上かかります。これらの治療で改善されない場合は、保険適用となっているボツリヌス毒素の注射をすすめています」(横関医師)
Q:手術のクリップ法には、どのようなリスクがあるでしょうか。
A:「従来の交感神経を切断するETSに比べて、再発率がやや高いといえます。交感神経は回復力の強い神経だからです。またクリップ法でも、汗の引っ越しである代償性発汗は起こります。暑いときや運動をしたときなどに、手術で止まった部位以外に大量に発汗し、シャツやズボンが濡れて困ることがあります。
このため、患者さんにはまず片側の交感神経にだけクリップを留め、夏の代償性発汗に耐えられるかどうかを確認してもらう。許容範囲だった場合、もう片側の神経を留める方法もあると説明しています。
最初から2カ所留める方法でも良いのですが、どれくらいの代償性発汗があるかわかりません。1カ所ならある程度わかり、そのまま治療を進めるか、やめるのか選択できます。
また手術は短時間で傷口も小さいとはいえ、出血、感染症、気胸や血胸、麻酔のトラブルなどが起こる可能性もあります。手術を希望されるのならば、しかるべき研修を受けたペインクリニック科の専門医を受診されることを勧めます」(安部医師)
※週刊朝日 2016年4月22日号より抜粋