スタンドの声援に拍手で応じた北島 (c)朝日新聞社
スタンドの声援に拍手で応じた北島 (c)朝日新聞社
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「結果は結果。ただ、わりとすがすがしい気持ち。悔しいけど晴れ晴れしいというか、やり切った感でいまはいっぱいです」

 5大会連続の五輪出場がかなわず、事実上のラストレースを終え、そう振り返ったのは競泳男子平泳ぎで、アテネ、北京と2度の五輪で2冠に輝いた北島康介(日本コカ・コーラ)だ。10日の記者会見で現役引退を正式に表明した。

 リオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権(4月4~10日)。北島は5日の100メートル決勝で2位につけたが、派遣標準記録にわずか0.3秒届かず。8日の200メートル決勝でも150メートルを代表入り圏内の2位で折り返したものの、終盤の50メートルで失速し、最後は5位に沈んだ。

 水泳の五輪選考は一発勝負。決勝で日本水泳連盟が定める派遣標準記録を突破し、なおかつ2位以内に入る必要がある。北島にとって、悔やまれるのは100メートル。準決勝では100分の1秒だが、派遣標準記録を切っていたからだ。決勝後、約5千人の観客で埋まった東京辰巳国際水泳場のスタンドが奇妙なまでに静まり返ったほどだった。

 だが、北島もすでに33歳となり、ここ2年は国際舞台からも遠ざかっていた。近年は自身が社長を務める会社の経営と競技者の二足のわらじを履いてきた。

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