プロ野球の2016年シーズンがついに始まった。順位を予想した西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、昨季圧倒的な強さをみせた福岡ソフトバンクホークスに隙があるという。
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昨秋発覚した巨人の野球賭博をはじめ、清原和博容疑者の覚醒剤事件、さらに、試合前の円陣での金銭授受問題など、プロ野球界はグラウンド外の暗いニュースに包まれている。
そんな中、3月25日に開幕を迎える。選手たちそれぞれが野球をできる喜びをかみしめ、試合でいいプレーを見せ、ファンへの気持ちを示してもらいたい。
今年の順位予想をしたいところだけど、セ・リーグでは、全チームに優勝するチャンスがあり、最下位に陥る可能性もある。昨年同様、最後まで3~4チームが優勝を狙えるような混戦となるだろう。運の要素も絡む順位予想をするよりも、どんなチームが上位を維持するのかを考えたい。
星勘定をすると、80勝63敗なら優勝できる。貯金17。8月の時点で貯金が10前後あれば、優勝争いに絡める計算になる。クライマックスシリーズに進出する3位以内に入るには、勝率が5割あればいい。
その計算だと、8月以降にどれだけ投打の精度を上げていくかが大事になる。4~6月は勝率5割をキープし、夏以降へ向けてチームを整備していく。結果の出ない新戦力を我慢して起用したり、守備力の弱点を見極めて適材適所に配置転換をしたりしながら、チーム力を高める必要がある。
そのうえで考慮すべきは救援投手陣の疲労だ。無理な連投をさせずにやりくりできるか。先発投手陣の踏ん張りがカギを握る。監督やベンチは目先の1勝を手にしようと、ついつい早めの継投策に出たくなる。それをどれだけ我慢できるだろうか。
パ・リーグに目を移すと、ソフトバンクが大本命であることには変わりはない。ただ、昨年のように90勝まで届くかというと、隙はある。
李大浩(現マリナーズ)の抜けた穴は予想以上に大きい。昨年は内川を4番に据え続けたが、投手の立場から見ると、5番を打った李の存在が大きかった。李は内角も外角も器用にさばく。試合状況に応じ、右方向へ軽打もできる。どうすれば打ち取れるのか、その対策が見当たらなかった。
今のソフトバンクに代役はいるか。長谷川や松田が5番に入るだろうが、李ほどの怖さはなく、攻略法も発見しやすい。
ソフトバンクと競り合っていくには、日本ハムでいえば、大谷は貯金10が最低限のノルマとなる。西武なら、岸と菊池で10以上。そのうえで、大きく力を伸ばす新戦力の台頭を期待したい。ソフトバンクが余裕を持って春先から独走するようだと、逆転するのが難しくなる。
最後に、先週もお伝えした松坂大輔の状況――。3月16日の西武戦での登板を見たが、指先のインパクトの力がなく、球威をまったく感じられなかった。4月中旬には復帰してほしいと思っていたが、もうしばらく時間が必要だろうな。
※週刊朝日 2016年4月1日号