

ガラスのような透明感と躍動的な造形美。実はこれら全て飴細工。縁日で見かけるものとは一味違う、見事な出来栄えだ。
「○○を作ってと依頼された時、できませんとは言いたくない。技術があってこそ、写実的なものも可愛いものも作れるんです」
そう話すのは東京・浅草で「アメシン」を営む飴細工師の手塚新理(しんり)さん(26)。職人を志し、刺激を求めて花火師の世界に飛び込んだ。しかし中国製ばかりの業界に疑問を感じ、21歳で飴細工に辿り着く。研究を重ね、技術は独学で習得した。
「お客様の目の前で作り、工程にも価値がある。ごまかしのないものづくりに惹かれました」
球体にした約70度の飴が固まるまでのわずか2、3分の間に、手鋏1本と指先だけで形を作る。透明な飴細工や塗装を施す仕上げも、手塚さんが生んだ技術だ。
「飴ははかないけれど、そこがいい。工程の楽しさ、もらった嬉しさ、瞬間の強さがある」
「アメシン」では体験教室を随時開催。道具は手鋏1本で、うさぎを作る。耳を切って伸ばす、尻尾を鋏でつまむなど、うさぎには飴細工の基礎が詰まっているという。
飴細工は時間との勝負。作り始めると頭の中は真っ白になるが、練習を重ねるごとにうさぎっぽくなるのが嬉しい。
「大人も子どもも一緒です」と笑う手塚さんの言葉に納得。年齢性別を問わず同じレベルで楽しめるものづくりだ。(所要時間約1時間/大人2500円、高校生以下2000円/開催日時はwww.ame-shin.comで確認のうえ、ウェブまたは電話で要予約)
※週刊朝日 2015年4月10日号