「練習の時、他の選手は羽生選手にぶつからないように通常以上に気を付け、まるで腫れ物に触るかのような雰囲気でした」(同)

 観客席も、羽生が好きな「くまのプーさん」で埋め尽くされていた。会場では、リンク裏でアップする選手の映像が時折流れた。

「ある外国人選手がいざ滑り始めようとした時に、裏にいる羽生君の映像が映って、客席から大歓声が沸き起こってしまい、可哀想でした」(会場にいた女性)

 中国でも圧倒的な“羽生フィーバー”だが、選手が受ける影響もあったという。

「羽生選手は悪くないのですが、彼一人の存在で、他の選手が平常どおり試合ができないような空気ができてしまう。一番気の毒だと言われたのが、ロシアのマキシム・コフトゥン。“流血事件”の中国杯フリーでも、今大会のSPでも、羽生選手の次の滑走で、滑る前に羽生選手への大歓声と、プーさんの嵐がリンクにあるので……」(前出の記者)

 熱狂も、ほどほどに。

週刊朝日 2015年4月10日号