週刊朝日で好評連載中の「美意識ある生活」。生活品評論家の東海左由留(とうかい・さゆる)さんが厳選したひと品を紹介している。東海さんは日本とヨーロッパで「生活をより豊かに」をテーマに様々なアイテムやサービス、ライフスタイルを取材。自腹で購入し、時間をかけて使用感を検証している。
今回は、能作の酒器を紹介する。
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■今夜は、ぬる燗で一献
錫のちろりを使うようになって、ここのところ燗酒にはまっている。ぬる燗にすると、純米酒の芳醇さがふくらむからだ。錫は陶磁器より熱が伝わりやすく、自分好みの燗に素早く温まる。冷酒を味わいたい季節は氷を張った器に挿せばすぐに冷える。呑ん兵衛の戯言かもしれないが、錫のちろり一つで日本酒のおいしさは数割増しになる。
私が愛用しているのは、能作(富山県高岡市)のちろり。外側にも内側にも鋳型の砂地のかすかな凹凸がある。その凹凸がとろりとした酒に陰影を与え、豊かな表情を見せる。能作の酒器はどれも錫100%。まじりけのない錫は手で曲げられるほどやわらかいからか、手にしたときや唇に触れた感触にも暖かみがある。そのため、和みのひとときにぴったりの酒器なのだ。
食器は陶磁器やガラス、漆器、と思い込みがちだ。しかし、世界各地で紀元前から食器として使われてきた錫の器を手にすると、新しい発見がある。
<今日の逸品>
ぐい呑 金箔 4400円
ぐい呑 3200円
ちろりS 9000円
曲がるシリーズ KAGOスクエアS 4200円
タンブラー 4800円
(すべて税別)
問い合わせ先:能作(のうさく)
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フリーダイヤル 0120-013-193(年末年始をのぞく毎日9:00~19:00)
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※週刊朝日 2015年2月13日号