歴代最多の優勝を目指す白鵬やスピード昇進した逸ノ城など盛り上がりをみせる大相撲九州場所。その力士たちを支える相撲部屋のおかみさん方が集まり、苦労話などを語った。
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――海外から来る力士の活躍が目立ちますが、指導に苦労などありますか?
尾上(おのえ)部屋:力士によりますね。食べ物だけじゃなく、相撲に関する価値観や感覚、精神が違い、とても難しいです。親方と私がきちんと教えなければいけないんですが、自分だけが勝てばいいとしか思えず、部屋や伝統の継承といったことを理解できないんですね。
――なかなか難しいですね。
尾上:把瑠都(※1)の優勝が決まった千秋楽(2012年1月場所)、私は初めてのことに右往左往、パーティーに酒樽は用意しなきゃ、鯛はどうするの? って走り回り、集まった記者さんに「すみません、他の部屋ってどうしてるんですか?」なんて聞いていたんです。
――そうした準備は協会が教えてくれないんですか?
峰崎(みねざき)部屋:世話人とか年配の方が部屋にいればねぇ。
尾上:うちは親方と私のふたりだけだったので……。そしたら、パーティーの司会の方が「おかみさん、たいへんです」って飛んできて、ワンセグで相撲中継を見たんですが、関取の奥さんが国技館のマス席で万歳してたんです。うわぁ、ほんとに? なんでそこにいるの? パーティーの準備を手伝ってほしかったのにと、がっかりしました。把瑠都は騒動を起こすことも多く、周囲にもいろいろ言われ、一時はずいぶん悩みました。
――今どきの若い力士は昔とは違いますか?
尾上:スマホを手放さず、おなかが空いたらコンビニやマックに行けます。
峰崎:お金ないと言いながら買って食べてるのよ。部屋で食べてたら何も買わないですむのに。
尾上:おかみさんにお金ないなんて言うんですか?