週刊朝日で好評連載中の「美意識ある生活」。生活品評論家の東海左由留(とうかい・さゆる)さんが厳選したひと品を紹介している。東海さんは日本とヨーロッパで「生活をより豊かに」をテーマに様々なアイテムやサービス、ライフスタイルを取材。自腹で購入し、時間をかけて使用感を検証している。
WEB連載1回目は、ハンス・J・ウェグナーのYチェアを紹介する。
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■なぜ椅子に肘掛けが必要なのか
「これ以上、物を買うなんて」
人生の折り返し地点をだいぶ過ぎると、そんな考えがよぎる。しかし、先々を見通しての買い物となれば別だ。本欄では、成熟世代がこれからの生活をより快適にする品々を紹介する。
初回は北欧を代表する家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーのYチェア。デザインの美しさは言うまでもない。だが、着目したいのは「なぜ、肘掛けが必要なのか」。
今は何の不自由がなくても、立ち上がるのに一苦労する時期がやってくる。女性の場合、床に座る生活が変形性関節症を助長するという報告もある。
そこで椅子の肘掛けである。肘掛けに手を置くと、立ち上がるのが本当に楽なのだ。
ちょっとした不自由をそのままにしておくと、生活の質が下がる。美意識ある生活とは、賢い選択をすることにほかならない。椅子を見直すのもその一つ。しかも、佇まいが美しくあれば、心に潤いも与えてくれるだろう。
<今日の逸品>
Yチェア CH24 7万9000円(税別)~
問い合わせ先:カール・ハンセン&サン ジャパン フラッグシップストア
http://www.carlhansen.jp/
※週刊朝日 2014年5月9-16日号