約1カ月にわたって永田町が右往左往した「石破の乱」の真相は、何だったのか。9月3日に行われる内閣改造の最大の焦点となっている石破茂・自民党幹事長をジャーナリストの田原総一朗氏が約1時間にわたって直撃。そのロングインタビューが週刊朝日9月12日号に掲載された。
安倍晋三首相から打診された安保法制担当相ポストの受諾に難色を示したことから、無役になって来秋の自民党総裁選に出馬するつもりではないかと注目された石破氏。
「時の人っていうか、極悪非道の反逆者みたいに言われているところがありますけどね」
苦笑いしつつ、複雑な胸中を語り始めた。
「安倍首相の安全保障と、石破さんの安全保障は何が違うのか」
と問いかける田原氏にこう答えた。
「私は集団的自衛権について法律で決めるべきだと考えている」
国家安全保障基本法の制定が必要だという従来からの持論を展開。これに田原氏がすかさず、切り込む。
「基本法を制定しようとすると、公明党は乗りません。公明党の同意を得るためには急いで閣議決定しなくていいと(石破氏は)言ったんでしょう? だから安倍首相は怒って、石破さんじゃなく高村さん(正彦・自民党副総裁)に公明党との調整役を任せた」
石破氏はこう振り返った。
「そこは本当のところはわかりません。あくまでも推測ですが、安倍首相は基本法を作るにはすごく手間がかかると思われたんじゃないだろうか。もう一つは、これ以上やろうとすれば憲法改正が必要だ、というお考えだったようです」
石破氏はさらに集団的自衛権にまつわる独自の理論を語り始めた。安全保障政策について安倍首相との相違が次第に鮮明になる。
「この議論の先には、日米安全保障条約の改定も視野に入れることが必要になってくる。そうしないと日本は基地を置く義務からは逃れられず、沖縄の負担も減らない。安倍首相には、それは国民が容認しないという判断があるんでしょう」(石破氏)
一方、安保法制担当相を断ったのは来秋の総裁選に出馬するためかとズバリ突っ込まれると、「そんなつまらない話ではありません」と強く否定。幹事長留任にこだわった理由、総裁選への本音を語った──。
※週刊朝日 2014年9月12日号より