夕方、足がパンパンに腫れて靴がきつくなる、靴下を脱ぐとゴムの痕がしっかり残っている――。足の“むくみ”に悩む女性たちによると、夏は特にひどくなりやすいという。今すぐ始めたい対策を専門家に聞いた。

 日本静脈学会名誉会長で、福島第一病院(福島市)理事長の星野俊一医師のいる病院では週1回「フットケア外来」を開き、むくみに対する生活改善や対策などについて指導する。患者の半数以上はリンパ浮腫の患者だが、慢性静脈不全で悩んでいる女性も来院する。この外来で患者を指導する看護師(日本静脈学会認定の弾性ストッキング・コンダクター)の鈴木静江さんが言う。

「まず太っている方には減量をお願いします。あとはセルフケアによる体操とマッサージを教えて、自宅で実践してもらう。外来では体重のほか、足の太さも測ってむくみの改善度をみています。体操とマッサージを続けるとむくみにくくなるせいか、足が細くなっていきます」

 鈴木さんが患者に指導している体操は10種類ほど。簡単にできるものを2種類、教えてもらった。足首を時計回りと反時計回りに回す体操と、つま先を上げたりかかとを上げたりする体操だ。ふくらはぎの筋肉ポンプが働き、静脈の血行を促すもの。この2種類を5分ぐらい続けるとよいそうだ。

 
 さらに、星野医師が勧めるのは筋肉ポンプを動かす30分ほどのウオーキングと、1日3~4回、10~15分の足上げ(横になり、足を心臓より高い位置に上げっぱなしにする)。職場などでは弾性ストッキングを活用してもいい。

「弾性ストッキングには着用時の圧が示されています。予防的に用いるのなら20mmHgぐらいで十分。一方、しっかりむくみを解消したい方はそれより高めの圧の弾性ストッキングを選んでください。適正な圧を知りたい方は、むくみやリンパ浮腫などを扱う外来で相談するのがいいでしょう」(星野医師)

 むくみ解消のための弾性ストッキングは着脱にもコツがいるという。

 食生活では便秘を予防する食物繊維と、むくみの原因になるナトリウムの排出を促す作用のあるカリウムをとったほうがいい。腎臓が悪い人は主治医に相談しよう。カリウムは干し柿やアボカド、バナナ、ほうれん草、枝豆などのくだものや野菜に多く含まれている。水溶性で、ゆでるとカリウムが水に溶け出してしまうので注意したい。

 もう少し積極的にむくみを解消したければ市販薬もある。赤ブドウの葉を原料にしたむくみ改善薬「アンチスタックス」(40カプセル・税抜き2900円・エスエス製薬)だ。赤ブドウの葉はヨーロッパで昔からむくみの改善に用いられており、海外の臨床試験でもプラセボ(偽薬)に比べてむくみが抑えられたとの報告もある。購入したいときは要指導医薬品のため、薬剤師のカウンセリングが必要だ。

週刊朝日  2014年8月29日号より抜粋