12月7日午後5時18分、宮城県三陸沖を震源とし、日本列島の広い範囲を襲った地震と、その後、三陸地方に到達した津波は、東日本大震災をいやおうなしに想起させた。

 今回の地震メカニズムのキーワードは、気象庁の会見でも出てきた「アウターライズ地震」だ。

 昨年の東日本大震災は、北米プレートと太平洋プレートの境界で起きた。それに対して今回の地震は、日本海溝のさらに沖側(外側)に位置する太平洋プレートが割れ、断層が沈み込むことで発生した。東日本大震災の影響で太平洋プレートを下向きに引っぱる力がかかり、引き起こされたと考えられる。

 3.11以降、アウターライズ地震の発生を危惧する声が専門家の中で起きていた。東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授も、繰り返し警告を発してきた。

「昨年3月11日の本震の約40分後に日本海溝から沖合100キロで起きたM7.5の地震、そして今回の地震もアウターライズ地震です。この地震が発生しやすい状況は継続していますから、数年後、数十年後に今回を超える地震が起きてもおかしくはありません」

 もっと大きな余震、つまり、M8級のアウターライズ地震がいつ起きてもおかしくないというのだ。仮にM8.3であれば、地震のエネルギーは今回の約30倍にもなる。独立行政法人建築研究所の都司嘉宣(つじよしのぶ)氏も言う。

「アウターライズ地震は、本震とペアをなすケースが多い。たとえば本震の明治三陸地震(M8.5、1896年)に対する昭和三陸地震(M8.1、1933年)のように。これに対して、今回の地震規模は本震の200分の1で、ペアというには小さすぎます。昭和三陸地震のように、時間を空けて発生することもあるので注意が必要です」

 アウターライズ地震では津波が大きくなるという怖さもある。震源は陸地から離れるので、揺れはその分小さい。しかし震源が浅く、さらに本震に比べて断層のずれる角度が垂直に近いので、海底がより大きく上下することになり、津波が大きくなりやすい。

週刊朝日 2012年12月21日号