人間に限ったことではない「高齢化」。動物園を訪れると、ご長寿動物には共通点があった。
おぼつかない足元に、ゆっくりした動き。加えて体毛の色は変わり、白内障を患い、サプリメントを常に飲む。たとえ動物であっても、どこかで見たことがあるような……。人間の深いシワやシミ、体の震えなどと同様、長く生きてきたその“証し”に慈しみの念すら湧く。赤ちゃん動物にはない“胸キュン”だ。
「研究が進んで餌や飼育環境が良くなって長生きになり、さらに研究が進む。その成果のひとつが動物の高齢化です」と説明するのは、上野動物園教育普及係の井内岳志さん。餌の工夫など動物園側の苦労は絶えないが、高齢の動物ほど人気がある。
高齢の動物には、食欲旺盛であったり面倒見がよかったり、大らかで怒らなかったりという共通点があった。どっしり構えたオトナの余裕だ。メスが大半を占めるのは、偶然か。
ちなみに園内の「長寿動物」は、日本動物園水族館協会に報告されているだけでも700を超える。
※週刊朝日 2013年12月13日号