NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」が最終回を迎える。どっぷりハマった「あまラー」たちは、いかにして失意を乗り越えていくのか。漫画家でエッセイストのまついなつき氏が「会えなくなると思うとさみしい」と語るのは、あの男性だ。
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「あまちゃん」は恋愛ウオッチのドラマとしてもおもしろかったです。
放送開始当初から、田舎の世界ではしょっちゅうくっついたり離れたりするんだという「リアルな男女間」を前提としていました。だからその後、くっついては別れるということが大らかに自然に描かれていた。でもアキだけは種市先輩一筋。そこは朝ドラ、アイドルのイメージを崩していないのがさすが!
種市先輩のモテキャラが目立ちました。アイドル顔でかっこいい。ユイの兄のヒロシもイケメンですが、なんか気持ち悪い。ドラマを見ながら、二人の違いをチェックして盛り上がっていました。
種市は南部潜りを身につけ、台場で潜って「東京の発展を支えるのは自分たちだ」と気張ったものの、結局、潜りの仕事がなくなる。その後、アキに励まされて無頼鮨で下働きを始めたわけですが、「自分にできる範囲の役割や仕事」を見つけて努力をする。言い換えれば、大きな夢を描きすぎて達成できない部分(隙間)を女の子で埋めるのではないので、心に余裕がある。
一方のヒロシは、目標もなく東京に出て、田舎に戻り、結局パソコンやビデオのスキルで観光協会の仕事に就いた。一度出ていって挫折しないと自分にできることがわからないという「鈍さ」が基本なんです。アキにフラれたら手近な栗原ちゃんとくっつき、そこでも「鈍さ」を見透かされてフラれてしまった。
モテる男の子って、実は女の子に対してそんなに必死にならず、周囲にいる最も可愛くて感じのいい女の子が困ったときに、自然に寄り添う行動に出られるんですよ。震災後、夜行バスに乗るアキに、種市は卵焼きを渡しました。ヒロシがアキに手紙を渡したときには「間が悪い」と怒られて、「必死さ」が空回ってる。
などなどいろいろ言いましたが、私がいちばんハマったのはミズタク。あれは成長過程にいる女の子たちにとって非常にセクシュアルな存在。私も10代の「女の子」目線で見ちゃってました。もうすぐ会えなくなると思うとさみしいです。
※週刊朝日 2013年10月4日号