東京オリンピックの開催が決まり、プロゴルファーの丸山茂樹氏は日の丸を背負うことを夢見るのは素晴らしいとこう話す。

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 いやぁ、来ましたね。東京オリンピック。近頃あんまりいいニュースがなかったんで、久々にうれしいニュースじゃないですか?

 開催地が決まる前日に北島康介くんと会っていて、「大丈夫かなあー」なんて話をしてたんですね。それで夜中にずっとテレビで見てたんですけど、寝ちゃいまして……。気づいたら滝川クリステルさんが大喜びしてて、画面に「東京オリンピック決定」と。一気に目が覚めました。やったぜ、ってね。

 僕は前回の東京オリンピックのときは生まれてないし、外国でも観戦したことがない。それが生きてる間に母国で目の当たりにできる。こんなラッキーなことってないですよ。

 44歳の僕にとって、オリンピックのスターと言えば、もうカール・ルイス(米国)でしょう。彼が出てくると、昔の人が力道山を見てたように、テレビにかじりつきで見てましたもんね。100メートル、200メートル、400メートルリレーはもちろん、走り幅跳びでも金メダル。すごいっすよね。走り方をマネしましたもん。両手の指をピンと伸ばしてね。ほんと、ヒーローでした。

 僕自身はオリンピックではないですけど、何度も日の丸を背負って戦いました。日大3年のときに出た1990年の北京アジア大会では、開会式の前に秋篠宮さまに激励していただいた。開会式の盛り上がりもすごくて、「ああ、すげえなあ。本格的な日本代表なんだ」と。選手村で食事をしてても、そんなことを感じましたね。

 個人でも団体でも金メダルがとれて、表彰台の真ん中に立ちました。「君が代」が流れて、国旗が揚がっていく。あれは格別です。日本では結構派手に報道されたみたいで、帰ってきて銀座を歩いてたら、すれ違う人が「丸山じゃない?」「すげえ」って。その1週間前までは誰も知らなかっただろうに、ほんとに驚きましたよ。

 2002年にメキシコで開かれた、ゴルフの国別対抗戦・EMCワールドカップも心に残ってます。高校の先輩である伊沢利光さんと組んで、日本にとって45年ぶりの優勝!

 日本代表になると、自然と責任感が湧いてきました。それまでは「ゴルフは個人競技だし、自分のことだけ考えてりゃいいんだ」と。「気を緩めないで、最終18番の1ミリのパットまで真剣に打つことが、日の丸を背負う意義なんだ」と思えるようになってから、自分が急成長したんだと思ってます。

 16年のリオデジャネイロ大会で、ゴルフが112年ぶりにオリンピックにカムバックします。7年後の東京オリンピックのとき、僕は50歳。やりたいですねえ、日本代表の監督を。米国在住でゴルフをしてる一人息子の奨王(ショーン・13)にも言ったんです。

「本当に東京オリンピックに出られる可能性があるんだから、そこを目指して頑張りなさい。お前が選手、パパが監督で出られたら最高だね」

 って。テレビを見てたら、東京の小学生や中学生が、「7年後のオリンピックに出たい」って言ってました。これ、めちゃくちゃいい話ですよね。20年に間違いなく東京オリンピックはある。しっかり夢を持てるんです。最高に幸せなことですよ。

週刊朝日  2013年9月27日号