政党が乱立し、離合集散した今回の選挙。党から党への“渡り鳥”たちの勝敗は――。

 民主党を離れ、日本維新の会の国会議員団幹事長を務める本1区の松野頼久氏(52)は、開票開始わずか2分で比例区の当確が報じられた。さすが政界の“酒落者”らしく、ツイードのスーツにシルバーのネクタイ姿ながら、神妙な面持ちで支援者に頭を下げた。「小選挙区の開票はこれからです。それを待って御礼を言いたいと思います」。

 実は、この時点でマスコミ各社の出口調査によって小選挙区落選は濃厚。沈鬱ムードでバンザイ三唱もない当選報告となった。

 それもそのはず、獲得議席で一気に第3党に躍り出た維新において、その代表格である松野氏が“負けた”となれば、男がすたる。が、結果は「比例復活」。

「現職の議員ということで、地元を歩く時間が少なかった」と改めて深々頭を下げた。

 もともと地盤は盤石のはずだった。祖父は自民党結党に参加し、参院議長を務めた鶴平氏、父も農林相などを務めた頼三氏というサラブレッド。本人もドブ板選挙を得意とし、4期連続で小選挙区で勝利していただけに、周囲にはこんな“本音”も漏らしていた。「比例単独1位は失敗したね。支持者が緩んでしまった。二度とやらないよ」。

 誤算はそれだけではない。「離党後も関係がよかった連合との仲が、県内の候補者調整の過程でこじれてしまった」(地元記者)。

週刊朝日 2012年12月28日号