来月16日に投開票を迎える衆院選。支持率の低下が著しい民主党にとって、苦しい状況だ。それは首相経験者でも変わらない。なかでも厳しい戦いを強いられそうなのが、東京18区の菅直人前首相だ。前武蔵野市長の土屋正忠氏(自民)とは互角とみられているが、ここに無所属の横粂勝仁氏、さらに第三極の候補者まで絡めば、情勢は混沌(こんとん)としてくる。政治評論家の有馬晴海氏はこう語る。

「菅氏は東日本大震災への対応を誤ったのがすべてです。鳩山氏と同じく、リーダーとして失格の烙印(らくいん)を押されてしまった。こんなとき、自民党ならば強固な個人後援会が苦境のときほど団結して支えてくれるものだが、民主党はよくも悪くも“風”頼みです。前首相といえども安泰ではありません」

 そんな菅氏、さぞやピリピリしているかと思いきや、どうも違うらしい。11月10日には都内のトークイベントで登壇。福島第一原発の事故直後に、自身が現場に怒鳴り込んだことが対応を遅らせたと批判されたことについては、

「イラ(短気)は人の性格なんだから。ゆっくりしゃべる人がうまくいくのか」

 と、堂々と開き直ってみせた。その後も、満席の会場に気を良くしたのか、

「原発事故には小沢さんがいなかったことがいちばん役に立った。いたりしたら大変でしたよね」

「(選挙は)僕も危ないかなーと思ってる(笑い)」

 と、言いたい放題。会場は大爆笑だったが、本当にそれでいいのか?

週刊朝日 2012年11月30日号